競艇の払戻金は税法上「一時所得」で、1年間の払戻から当たった舟券代を引いた利益が50万円を超えると、確定申告の判定対象です。
なぜなら、一時所得には最高50万円の特別控除があり、利益が50万円以下なら控除後の金額が残らないためです。
ただし、外れ舟券は経費にできないため、年間収支がマイナスでも申告が必要になる場合があります。
給与1か所の会社員は、利益から50万円を引いた残りの半分が、副収入込みで20万円以下なら申告が要らない場合があります。
年間払戻120万円で当たり舟券代が12万円なら、所得税と復興特別所得税は約6万円、住民税は約3万円が目安です。
銀行口座への入金とテレボートの履歴は残るため、調査の通知前に自分から申告すれば加算税は5%まで下がります。
この記事では、自分の状況に合わせて以下の3つの項目を解説します。
- ・自分が申告対象かすぐ分かる判定基準
- ・テレボートの履歴から1年分の数字を取り出す手順
- ・払戻額ごとの税額目安と、放置して発覚した場合のペナルティ
自分が申告する側か確かめ、無申告加算税を取られる前に手続きを始めてください。
なお記事内の税額は、舟券代と他の所得を一定の条件に置いた試算です。
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目次
競艇の確定申告は払戻ではなく「利益50万円」から始まる

競艇で稼いだお金の確定申告は、年間の払戻金から当たった舟券の代金を引いて、50万円を超えるかどうかの判定から始まります。
国税庁は公営競技の払戻金について、次の4つのステップで計算するよう示しています。
- 払戻金に係る年間受取額を計算する
- 払戻金に係る年間投票額を計算する
- ①から②と50万円を引いた金額を計算する
- ③に2分の1を掛けた金額を計算する
この④がプラスにならなければ、確定申告の必要はありません。
国税庁が示す4つのステップで申告の要否が決まる
①と②は、それぞれ1年間の合計額です。
たとえば年間の払戻金が160万円で、そのうち当たった舟券の購入代金が12万円だったとします。
160万円から12万円と50万円を引くと98万円になり、これに2分の1を掛けた49万円が税金の計算に乗る金額です。
払戻金の160万円がそのまま課税されるわけではありません。
逆に、一度の的中が数万円から十数万円で、年間の払戻を足しても50万円に届かない場合は、この時点で対象から外れます。
もう1つ、会社員の方には別の分かれ道があります。
給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる場合、申告が必要になるのは「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人」です。
つまり④とほかの副収入を合わせて20万円以下なら、給与所得者は申告不要になる場合があります。
ただし給与の年収が2,000万円を超える方は、この20万円の基準にかかわらず申告が必要です。
自営業の方やこの条件に当てはまらない方は、事業所得など他の所得と④を合わせた金額から、基礎控除をはじめとする所得控除を引きます。
残った金額に対する税額が配当控除や住宅ローン控除の合計より大きければ、申告が必要です。
出典:国税庁タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」・「No.2020」
出典:国税庁「公営競技の払戻金の支払を受けた方へ」
外れ舟券は受取額にも投票額にも含めない
ここで多くの方がつまずくのが、外れた舟券の扱いです。
国税庁のパンフレットには「外れ投票分(払戻金のない投票)は受取額・投票額ともに計算に含みません」と書かれています。
一時所得の計算では、外れ舟券は経費として引けないのではなく、そもそも入れる欄がありません。
②に入れていいのは、あくまで当たった舟券の購入代金だけです。
年間の収支がマイナスでも申告が必要になる場合
外れ分を計算に含めないため、財布の中身が減っていても④がプラスになることがあります。
先ほどの例で、外れ舟券に年間170万円を使っていたとしましょう。
実際の手元は160万円の払戻に対して182万円の支出で、22万円のマイナスです。
しかし税金の計算では外れ分の170万円を引けないため、④は49万円のまま変わりません。
この49万円は納める税金の額ではなく、税率をかける前の基準額です。
年間を通して負けている感覚でも、申告が必要な側に入っていることがあります。
負けているのに納税かと、納得しづらい仕組みです。
それでも先送りにすれば、あとから加算税と延滞税のぶん支払いが増えます。
競艇場で長く見てきた中で、この仕組みを知らずに大きく当てた年だけ後から慌てる方を何人も見ています。慌てる方に共通するのは、払戻の大きさだけで自分は対象だと思い込んでいることです。分かれ目は払戻ではなく、そこから当たり舟券代と50万円を引いた残りにあります。
当たったのに収支が減る状態には、多点買いという分かりやすい原因があります。
防ぐための具体的な対策は、次の記事で確認できます。
競艇の税金は年収しだいで5%から45%まで変わる

競艇にかかる5%から45%の税率は、④で出た金額を給与など他の所得と合算した課税所得で決まります。
④で出た金額は給与など他の所得と合算してから税率を掛けるため、同じ払戻額でも本業の収入によって納める額は変わります。
計算は次の3ステップです。
- 課税対象は一時所得の2分の1
- 給与など他の所得と合算して税率が決まる
- 合算後の金額に税率を掛け、控除額を引いて税額を出す
課税対象は一時所得の2分の1
一時所得は「総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)」で計算し、この金額の2分の1を他の所得と合計します。
税金がかかるのは、当たり舟券代と50万円を引いた残りの、さらに半分だけです。
払戻額にそのまま税率を掛けて、実際より重く見積もってしまうパターンが目立ちます。
出典:国税庁タックスアンサー「No.1490 一時所得」
給与など他の所得と合算して税率が決まる
所得税は課税される所得金額に応じて5%から45%まで段階的に上がります。
| 1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|
また、所得税とあわせて復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も申告・納付します。
出典:国税庁タックスアンサー「No.2260 所得税の税率」
年間払戻60万・120万・200万・500万円の税額早見
当たり舟券の代金を払戻の1割、他の所得の課税所得を350万円と置いた場合の試算です。
表の税額は、一時所得が加わったことで増える分だけを示しています。
ただし当たり舟券代の比率が1割から離れるほど、実際の税額はこの表からずれます。
少額の賭けで大きい万舟を引いた方は比率が1割を下回るため、自分の受取額と投票額を国税庁の4つのステップに当てはめて確かめてください。
| 60万円 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | 4,084円 |
| 120万円 | 12万円 | 58万円 | 29万円 | 59,218円 |
| 200万円 | 20万円 | 130万円 | 65万円 | 132,730円 |
| 500万円 | 50万円 | 400万円 | 200万円 | 408,400円 |
| 年間払戻 | 当たり舟券代 | 一時所得 | 課税対象 | 税額の目安 |
|---|
年間の払戻が500万円でも、所得税と復興特別所得税は41万円ほどです。
ただし本業の所得が大きい方は、合算後に上の税率帯へ移ることがあります。
表の税額は、課税所得350万円に課税対象を足した金額で税率帯を判定し、4行とも20%の帯に入るため課税対象に20.42%を掛けています。
この20.42%は、所得税の20%に、その2.1%にあたる0.42ポイントを足した数字です。
一番上の60万円の行は、課税対象が2万円です。
給与を1か所から受けている会社員なら20万円以下の側に入るため、申告が不要になる場合があります。
この20万円という基準はあくまで所得税のもので、所得税の確定申告をしない場合でも住民税の申告は別に必要になることがあります。
扱いは自治体によって分かれるため、お住まいの市区町村で確認してください。
なお、この表は所得税と復興特別所得税の合計で、住民税は含んでいません。
所得税の申告が必要な方が実際に納めるのは、表の金額に住民税を足した額です。
住民税の目安は表の課税対象の1割で、年間払戻120万円の行なら29万円の1割の約3万円、表の59,218円と合わせた負担は約8万8千円です。
実際の額を確かめる前に身構えてしまうと、申告そのものが遠のきます。後回しにして加算税を足すほうが、よほど高くつきます。
競艇の確定申告に使う数字はテレボートの投票結果参照で出す

用意する数字は2つ、年間の受取額と当たった舟券の投票額です。
「計算のやり方は分かった、でも自分の1年分の数字なんてどこにも控えていない」
ここで手が止まる方が一番多いはずです。
このうち受取額は、テレボートの投票結果参照からそのまま取り出せます。
ただし年別・月別で表示されるのは購入合計と払戻合計で、この購入合計には外れた舟券も含まれています。そのまま②に入れてはいけません。
- 年別集計で対象年の払戻合計を確認する(①受取額)
- 直近60日以内の的中は、レースごとの投票額を明細から拾う(②投票額)
- それより前の的中は、払戻額とオッズから投票額を逆算する
- 国税庁の計算書に転記して合計を出す
なお現地や場外の窓口で買った紙の舟券は、この画面に記録が残りません。
その分の受取額と投票額は、換金する前に控えたメモや記録から拾います。
投票額が分からなければ、手順3の逆算で出します。
年別集計は最大36ヶ月分さかのぼれる
編集部でBOAT RACEオフィシャルウェブサイトの案内を読んだところ、投票結果参照で見られる期間は集計の単位ごとに決まっていました。
| 日別集計 | 60日前から前日までの60日間 |
| 月別集計 | 前年1月から当月の最大24ヶ月 |
| 年別集計 | 前々年1月から当月の最大36ヶ月 |
| 集計の単位 | さかのぼれる期間 |
|---|
年別集計なら、前々年の1月分までさかのぼれます。
ただし年別・月別で出るのは購入合計と払戻合計で、レースごとの明細は日別集計の60日間だけです。
前年分の申告が始まる2月中旬の時点で、日別集計に残っているのは12月後半の的中だけです。
それより前のレースは60日を過ぎているため、明細から投票額を拾えません。
つまり年別集計から確実に取れるのは①の受取額で、②の当たり舟券の投票額は別に押さえる必要があります。
出典:BOAT RACEオフィシャルウェブサイト「投票結果参照」
国税庁は「画面の写し等でも代用可」と認めている
パンフレットには、控えておく項目として開催日・開催場・レース、払戻金に係る受取額、払戻金に係る投票額が挙げられています。
その控えについては「インターネット投票等の場合は、上記に相当する画面の写し等でも代用可」との但し書きつき。
ノートに書き写す必要はなく、画面のスクリーンショットで足ります。
投票額が分からない場合は受取額とオッズから計算する
明細が残っていない場合も、諦める必要はありません。
国税庁は「投票額が分からない場合は、受取額とオッズなどから計算してください」と案内しています。
払戻額をオッズで割れば、その舟券にいくら賭けたかが分かるという考え方です。
払戻2万円でオッズが20.0倍なら、投票額は1,000円と計算できます。
当時のオッズは、BOAT RACEオフィシャルウェブサイトのレース結果で引き直せます。
指定するのは開催日と開催場とレース番号の3つで、画面には7つの勝式それぞれの払戻金が並ぶ形です。
画面に出るのはオッズではなく払戻金ですが、100で割ればオッズに戻ります。
この払戻金は100円で買ったときに戻る金額なので、受取額をこれで割って100を掛けた数字が投票額です。
ただしこの引き直しには、どのレースで当たったかが分かっている必要があります。
レース自体の記録が残っていない場合は、手元の資料を持って税務署か税理士に相談してください。
出典:BOAT RACEオフィシャルウェブサイト「レース結果」
国税庁が配っている集計用の計算書に転記する
国税庁は「公営競技の払戻金に係る所得の計算書」という集計用の表計算ファイルを公開しています。
記入する列は開催日・開催場・レース・払戻金に係る受取額・払戻金に係る投票額の5つ。
受取額と投票額は、それぞれ自動で合計されます。
確定申告書等作成コーナーには、この合計の2つを入力してください。
締切が近づいてから1年分を一気に掘り返すと、そこで詰まります。的中が年に数本なら、当たった日だけ画面を残しておけば作業そのものが発生しません。
競艇の無申告がバレる3つの経路|銀行・テレボート・SNS

黙り通せるかどうかは、銀行口座・テレボート・SNSの3つの記録しだいです。
申告が必要だと分かっても、黙っていればいいのではと考える方もいるでしょう。
正直、それが一番楽に見えるのは確かです。
- 銀行口座への高額な入金
- テレボートに残る購入と払戻の履歴
- SNSへの的中報告
はじめの2つは自分の意思では消せず、3つ目は自分から公開した記録です。
銀行口座への高額な入金
テレボートの精算金は、登録した銀行口座へ振り込まれます。
入金の日付と金額が、通帳に1行ずつ残ります。
テレボートに残る購入と払戻の履歴
年別集計で前々年までさかのぼれるのは、それだけの記録が残っているからです。
記録が何も残っていない、という前提はネット投票では成り立ちません。
SNSへの的中報告
万舟を的中した画面をSNSへ投稿する方は少なくありません。
投稿には日付とレース、払戻額がそのまま写り込みます。
競艇の無申告は自分から申告すればペナルティが軽くなる

放置すると、本来の税額に加えて無申告加算税と延滞税がかかります。
申告しないままの年があると、思い出すたびに気が重くなります。
申告と納付の期限は、その年の翌年3月15日。
受付の開始は2月16日で、この期間を過ぎてから出す申告を期限後申告と呼びます。
- 無申告加算税は5%から30%まで変わる
- 調査の通知前なら加算税は5%まで下がる
- 期限から1か月以内なら加算税がかからない場合がある
- 延滞税は納期限からの日数で増える
上乗せがいくらになるかは、申告のタイミングと遅れた日数で決まります。
無申告加算税は5%から30%まで変わる
無申告加算税の税率には、納める税額といつ申告したかの2つが関わります。
| 50万円以下の部分 | 5% | 10% | 15% |
| 50万円超300万円以下の部分 | 5% | 15% | 20% |
| 300万円超の部分 | 5% | 25% | 30% |
| 納める税額 | 調査の通知前に自分から | 通知を受けた後 | 調査を受けた後 |
|---|
出典:財務省「加算税制度の概要」
調査の通知前なら加算税は5%まで下がる
税務調査の事前通知を受ける前に自分から期限後申告をすれば、無申告加算税は税額にかかわらず5%です。
通知を受けた後は10%から25%、調査を受けた後は15%から30%に上がります。
同じ申告漏れでも、調査を受けてから申告するのに比べれば、上乗せは3分の1以下で済みます。
国税通則法第118条・第119条では、加算税は納める税額の1万円未満を切り捨てた額に税率を掛け、出た金額が5,000円未満なら切り捨てる決まりです。
年間払戻120万円のモデル(納める税額59,218円)で通知前に出せば、無申告加算税は2,500円となり、5,000円未満のため加算されません。
同じ人が調査を受けてから出すと、7,500円が上乗せされます。
どちらの場合も本税と延滞税は別に納めることになり、延滞税は待った日数だけ増えます。
期限から1か月以内なら加算税がかからない場合がある
さらに、次の3つをすべて満たす期限後申告には、無申告加算税がかかりません。
- 法定申告期限から1か月以内に自主的に行われている
- 期限後申告に係る納付すべき税金の全額を法定納期限までに納付している
- 過去5年のあいだに無申告加算税や重加算税を課されたことがなく、この救済も受けていない
出典:国税庁タックスアンサー「No.2024 確定申告を忘れたとき」
延滞税は納期限からの日数で増える
加算税とは別に、納付が遅れた日数分の延滞税もかかります。
2026年の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。
なお、仮装や隠蔽があった場合の重加算税は40%ですが、これは意図的に事実を隠した場合の税率であり、申告を忘れていただけの状態に課されるものではありません。
不思議なもので、放置している方ほど「もう手遅れだから」と動かなくなります。実際は逆で、税務署から連絡が来る前に自分から出した方が扱いは軽くなります。去年の分に心当たりがあるなら、今日が一番条件のいい日です。
競艇の確定申告を会社に知られたくないなら住民税は「自分で納付」

会社に知られたくない方は、申告書の住民税欄で「自分で納付」を選ぶところから始めます。
税額そのものより、会社に知られる気まずさのほうが先に来ます。
税金の手続きから勤務先へ伝わる経路は、所得税ではなく住民税だけです。
- 勤務先に伝わる経路は住民税の通知
- 申告書の第二表にある徴収方法の選択欄を使う
- 最終的な扱いは市区町村に確認する
経路が1本なので、対処も申告書の1か所から始められます。
勤務先に伝わる経路は住民税の通知
給与から住民税が天引きされている方の場合、勤務先には毎年住民税の決定通知が届きます。
ここに給与以外の所得を含めた税額が載ると、金額の違いから気づかれる可能性があります。
申告書の第二表にある徴収方法の選択欄を使う
給与や公的年金等以外の所得にかかる住民税は、徴収方法を選べます。
選択する箇所は、確定申告書等作成コーナーなら「財産債務調書、住民税等に関する事項」の画面、紙の申告書なら第二表の「住民税・事業税に関する事項」の欄。
ここで「自分で納付」を選べば、給与から差し引かずに自分で納める形を、申告書の上で指定できます。
出典:国税庁確定申告書等作成コーナー「住民税の徴収方法の選択」
最終的な扱いは市区町村に確認する
ただし、実際の運用は自治体によって異なる場合があります。
国税庁も、住民税の詳細については住んでいる都道府県や市区町村へ問い合わせるよう案内しています。
確実を期したい方は、申告前にお住まいの自治体へ確認しておくと安心です。
予想サイトに払った情報料は競艇の確定申告で1円も引けない

予想サイトへ払った情報料は、一時所得の計算に入れられません。
毎月それなりの額を払っている方ほど、納得しづらいはずです。
有料予想を使っている方が見落としやすいのが、情報料の扱いです。
- 国税庁の計算書に情報料の記入欄はない
- 経費になるのは的中した舟券の代金だけ
- 有料予想を買うほど手元に残る金額が減る
経費にできるのは的中した舟券の代金だけで、情報料はそこに含まれません。
国税庁の計算書に情報料の記入欄はない
国税庁の「公営競技の払戻金に係る所得の計算書」に用意されている列は、開催日・開催場・レース・払戻金に係る受取額・払戻金に係る投票額の5つだけです。
情報料を書き込む欄は、そもそも用意されていません。
経費になるのは的中した舟券の代金だけ
一時所得で差し引ける支出は「その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります」と定められています。
競艇の払戻金でこれに当たるのは、その払戻を生んだ当たり舟券の購入代金だけです。
| 当たった舟券の購入代金 | 引ける |
| 外れた舟券の購入代金 | 引けない |
| 予想サイトの情報料・月額料金 | 引けない |
| 通信費・交通費 | 引けない |
| 支出 | 一時所得での扱い |
|---|
有料予想を買うほど手元に残る金額が減る
情報料に年間3万円を使い、その年の的中がこれだけで払戻100万円を得た場合を考えます。
当たり舟券の代金を10万円とすると、一時所得は40万円、課税対象はその半分の20万円です。
この計算のどこにも、情報料の3万円は出てきません。
情報料は手取りから丸ごと消える上に、一時所得の計算でも1円も引けません。
有料予想が本当に元を取れているのかは、税金を引いたあとの金額で確かめる必要があります。
情報料は経費のつもりで積み上がっていきますが、的中した舟券の代金と違って、一時所得の計算では存在しないものとして扱われます。年間いくら払っているかは把握しておいてください。
競艇予想サイトの「的中100万円」は手取りだと大きく目減りする

予想サイトの実績ページに並ぶ払戻額は、あくまで額面です。
同じ100万円でも、手元に残る金額は次のように変わります。
- 額面と手取りの差を計算する
- 回収率の表示に税金は含まれていない
実績ページの数字と手元に残る金額は、この2点でずれます。
額面と手取りの差を計算する
情報料3万円を払って払戻100万円を得た場合、他の所得の課税所得を350万円と置くと内訳はこうなります。
| 払戻の額面 | 1,000,000円 |
| 当たり舟券の購入代金 | -100,000円 |
| 予想サイトの情報料 | -30,000円 |
| 所得税と復興特別所得税 | -40,840円 |
| 住民税(課税対象20万円の1割) | -20,000円 |
| 手元に残る金額 | 809,160円 |
| 項目 | 金額 |
|---|
額面100万円に対して、手取りは80万9,160円です。
このモデルは課税対象が20万円ちょうどなので、給与1か所で年末調整が済んでいる方は、所得税の申告が不要になる場合があります。
その場合に納めるのは住民税だけで、手取りは85万円です。
ただし20万円は境界の数字です。
判定の4ステップで出した自分の金額が1円でも超えていれば申告が必要になり、放置すれば無申告加算税と延滞税がかかります。
20万円の基準は所得税のものなので、住民税の申告は別に必要になることがあります。
確認先はお住まいの市区町村の住民税担当窓口です。
回収率の表示に税金は含まれていない
予想サイトが掲げる回収率も、テレボートの投票結果参照で表示される回収率も、計算式は払戻金合計を購入合計金額で割ったものです。
つまり、どちらの数字にも税金は含まれていません。
回収率が100%を超えていても、税引き後では割り込むことがあります。
予想サイト側がどう実績を見せているのかを知っておくと、この差を自分で補正できます。
競艇の確定申告に関するよくある質問
競艇の税金について、特に多い質問に答えます。
Q.競艇の払戻金を雑所得として申告して外れ舟券を経費にできますか
外れた分を経費にできた事例はありますが、これは払戻金が一時所得ではなく雑所得と判断された場合の話です。
認められた条件は、一般の舟券購入とかけ離れています。
以下で挙げるのは競馬の事案です。
国税庁のパンフレットは競馬・競輪・オートレース・ボートレースを公営競技としてまとめて扱っており、払戻金の所得区分の考え方も共通しています。
最高裁平成29年12月15日判決で雑所得と判断されたのは、予想の確度と配当率の組合せで購入パターンを定めていた事案です。
そのパターンに従い、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を買い続けていました。
6年間にわたり、1年当たり合計3億円から21億円を購入し続けていました。
一方、東京高裁平成28年9月29日判決の事案は、3年間ほぼ全ての土日に購入し、購入金額や払戻金額が合計1億円を超える年もあったケースです。
年間の購入回数が1500回から2000回あったにもかかわらず、こちらは一時所得と判断されています。
長く続けて金額が大きいというだけでは、雑所得にはなりません。
Q.競艇の一時所得は103万円の壁に含まれますか
含まれます。
扶養の判定に使われるのは合計所得金額で、一時所得はその2分の1の金額が算入されます。
払戻額がそのまま加算されるわけではないため、判定の際は計算後の金額で確認してください。
Q.早見表の税額に住民税は含まれていますか
早見表の金額には含まれておらず、的中100万円の手取りモデルには反映しています。
一時所得は住民税でも課税の対象で、こちらも2分の1の金額が使われます。
所得割の標準税率は、住んでいる自治体を問わず一律10%です。
政令指定都市かどうかで道府県民税と市民税の内訳は変わりますが、合計は変わりません。
出典:総務省「個人住民税」
Q.複数の競艇場で買った分はどうまとめますか
国税庁の計算書は、当たったレース1つにつき1行を書き足していく形式です。
開催場が違っても計算書を分ける必要はなく、同じ1枚にまとめて記入できます。
最後に受取額と投票額をそれぞれ合計すれば足ります。
まとめ
競艇の確定申告でつまずくのは、たいてい計算そのものではなく、1年分の数字をどこから持ってくるかの部分です。
申告に使う金額は、年間の受取額と当たった舟券の投票額の2つだけです。
ネット投票なら、受取額は投票結果参照の年別集計で確認できます。
投票額は当たったレースの明細で確認し、残っていなければ払戻額をオッズで割った数字を使いましょう。
紙で買った分は、投票結果参照ではなく手元の記録から積み上げます。
そして情報料は、いくら払っていても計算には入りません。
有料予想を使っている方ほど、額面ではなく税引き後の数字で採算を見る必要があります。
まずは去年1年分の払戻合計を確認してください。
そこから当たり舟券の代金と50万円を引けば、残りの半分がプラスかどうかで判定できます。
給与を1か所から受けている会社員なら、その金額が20万円以下であれば所得税の申告は不要になる場合があります。
なお、判断に迷う点や自分のケースの扱いは、最寄りの税務署か税理士に聞くのが確実です。
そもそもこの心配は、当たった人にしか生まれません。
数字をそろえて申告を済ませたら、あとは落ち着いて次のレースに戻りましょう。
これから予想サイトを使うなら、情報料が税金の計算に入らないぶん、どこを選ぶかがそのまま手取りに響きます。
編集部が毎日自腹で検証を続けている優良サイトのランキングを、次のサイト選びに役立ててみてください。

